17日目 豊明市~三重県 桑名市(27km)
夜、三重県木曽根町に到着。
地理に疎い自分は、愛知の隣が三重だということを、この旅で知りました。
予約したホテル「ビジネスインNAGASHIMA」の住所に着いたけど、なにかがおかしい。
看板には「ビジネスインNAGASHIMA」と書かれているけど、どう見ても外観がラブホテルだったのです。
しかも建物には「ホテルラフィーネ」と書かれており、もうどうしたら良いかわかりません。
しばらく外でうろうろしていたけど、結局「ホテルラフィーネ」に入ることに。
フロントのおばちゃんにホテルの名前を確認すると、ここがビジネスインNAGASHIMAとのこと。
「あの、建物には『ホテルラフィーネ』って書いてあるんですけど」
「ああ、半年前までラブホだったけど、名前が変わったのよ」
そんなの紛らわしいから、直してくれよ……。
一人でダブルの部屋に泊まりました。内装もラブホテルそのものでした。
18日目 桑名市~鈴鹿市(30km)
朝から大雨。
防水ジャケットを着ていても、あっという間にパンツまでびしょ濡れになりました。
道路の舗装が悪くて、くるぶしまで浸かるほどの水たまりを歩くことも。
道路にはたくさんの大型トラックが走っており、トラックが脇を通るたび、バッシャア!と豪快な水しぶきが巻き起こります。
頭から水をぶっかけられて、まるでいじめを受けている気分……。
(中には親切な人もいて、自分の脇を通るときだけ徐行してくれるトラックもいました)
春先とはいえ、あまりの寒さに震えが止まりません。身を固く縮めて、歯をガチガチさせながら歩きます。
道路沿いにあった「カインズホーム四日市店」にあるモスバーガーで休憩。
空は重い灰色で、雨は一向に止む気配がありません。
またこの雨の中を歩くのは辛い。かといって、戻る場所なんてない。途方に暮れた気分でした。
それでも気持ちを決めると、また雨の中を歩き出します。
四日市駅に到着。
「ラーメンちゃんneo」というお店で、四日市のB級グルメ「とんてき」を食べます。
とんてきは、ロースを使った豚のステーキ。
肉は蒸し焼きにされており、 身が厚いのにやわらかくてジューシー。
ただの豚ステーキと違うのは、ソースに「ウスターソース・にんにく・ラー油」などが使われていること。香ばしい匂いが食欲をそそります。
寒さで体力を消耗していたため、猛烈に食が進みました。
食べているだけで体が熱くなってくるような、元気が出てくる味で、今の自分にピッタリです。
雨は午後5時に止みました。
雲が道を空けるように散っていったかと思うと、太陽が顔を出した時、「おれは雨に打ち勝ったんだ」という、誇らしい気持ちになりました。
温かい日差しを浴びていると、濡れた体が少しずつ乾いていきます。
旅の途中、何度か雨に降られたけれど、どんなに激しい雨も、いつかは止みました。
「いつか雨は止むから」と自分に言い聞かせながら歩き続けたことは、とても貴重な経験です。
夕方。60%ほどあったスマホのバッテリーが、突然ゼロになってしまうというトラブル。
スマホのマップの表示がおかしいので、電源ボタンを二回ほどカチカチ押すと、バッテリーが急にゼロになってしまったのです。
(普段から過充電していると起こりやすいらしい)
道に迷ってしまうのは、この旅で二度目。
ブラジル人用の食品店やレストランが並ぶ、異国感あふれる町での迷子は、ちょっと心細かったです。
コンビニに入り店員さんに事情を説明すると、親切な店員さんがホテルまでの行き方を調べてくれました。
しかも夜道でも危なくないよう、大通りを使った行き方まで教えてくれて感謝。
2時間後、「ホテルルートイン鈴鹿」に到着。
ホテルに着いた時は午後8時を過ぎており、泣きそうになるぐらいホッとしました。
今回の旅は、1日20kmの行程を30kmに伸ばしたり、名古屋に二度も寄り道したり、一番大変でした。
19日目 鈴鹿市~亀山市(14km)
シャープの工場で有名な亀山市へ。
鈴鹿川沿いを歩きます。
途中、何がどうなったのか、ショベルカーが倒立した事故現場に遭遇。
「亀八食堂」で、亀山のB級グルメ「亀山みそ焼きうどん」を食べます。
近くの工場の人が利用するのか、お店には作業着を来た人がたくさん。
キャベツやもやし、うどん、牛ロースなどを、鉄板で焼いていただきます。味付けは赤みそ。
濃厚なみその味がおいしい。おいしいけど、さすがにみそは飽きたかな……。
みそカツ・みそ煮込みうどん・とんこつラーメンと、この5日間こってりしたものばかり食べてきたから、あっさり味の醤油ラーメンが食べたい!
そして、最終目的地の「関」駅に到着。
ここから先は峠道に入るため、今回の旅はここでおしまい。
関には「関宿」と呼ばれる宿場があり、当時の町並みが残っていました。京都が近いことを感じさせます。
帰り道、電車の乗り換えで名古屋に立ち寄った。
最後の名古屋グルメを味わおうと、駅にある「驛釜きしめん」で、「コーチン南蛮」を注文。
スープの味はシンプルで、醤油とかつおだしの味が、とても懐かしい。やっぱり関東人は醤油だな!
きしめんはコシがなく、つるつる入ります。名古屋コーチンは、噛むと鶏のうまみがじゅわっとあふれるおいしさ。
今回も、おいしいお店にたくさん出会えた旅でした。
旅を終えて
ついに、ちょっと西に京都が見えるところまで来ました。その距離、わずか70km。
去年の自分は「京都なんて歩いていけるわけがない」と思っていました。
それがいつの間にか、三重県まで到達しているのです。
1日20kmをチビチビ歩いていたあの時の自分は、1日30kmをコンスタントに歩けるようになっていました。
帰りの電車に乗っていると、旅が終わるのが嬉しいような切ないような、不思議な気持ちになりました。
ゴールに着いた時、どんな気分になるんだろうと、帰りの電車に乗っているうちからワクワクします。
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