静岡駅を目指す旅
前回の旅で箱根峠を越えたわたしは、静岡県・三島まで行きました。
今回の目的地は、静岡駅です。
今回の旅路(64.6km)
https://goo.gl/maps/hiJykV4nDX42
7日目・三島~新富士(25km)
いつものように、東京からセーブ地点である三島駅に戻ります。
三島駅を出て歩いていると、駿河湾に出ました。
そこには「千本松原」と呼ばれる松林が広がっており、なんとも明光風靡な景色です。
幹のしっかりした松が、ゆるりとした曲線を描く光景は、浮世絵などに出てくる昔の日本を思わせました。
そのまま駿河湾沿いをテクテク。
また、波一つ起きない海は、見ていて心が落ち着きます。
静岡を歩いているとものすごく「望月さん」が多いということに気づきました。
お店の看板から代議士のポスター、コンビニの店員さんまで、みんな名字が「望月」なのです。
日が暮れた頃、田子の浦を歩きます。
夜、新富士にあるホテルに到着しました。
とあるビジネスホテルに泊まったら、
・フロントに凶悪犯罪者の指名手配書がデカデカと貼ってある
・部屋のいたるところに「ここでタバコを吸わないで」という張り紙がある
・にもかかわらず、部屋中にタバコの焦げ跡がある
という、なかなか危険な香りのするホテルでした。
港があるから、日雇い労働者などの流れ者が集まるのでしょうか?
8日目・新富士~清水 (24km)
朝から黙々と歩いていると、昼時に、静岡市に突入しました。
静岡といえば富士山だけど、今回は天気が悪く、一度も見ることができなくてちょっと残念。
「蒲原宿」と呼ばれる宿場を歩きます。
そこは東海道が賑わっていた当時の町並みが残っている、とても風情がある町。
こころなしか、静岡は東海道にまつわる資料館などが多くて、東海道を大事にしている印象があります。
お昼に食べたのはおそば。
清水名物の「桜えび」を使ったかき揚げが入っており、これが絶品でした。
まず、食感が良い。まるでせんべいみたいにパリパリで、噛むたびにエビの香ばしい味がします。
また、えび塩をかけて食べると、エビの風味が増しておいしい!
今までは歩くのに精一杯で、ご当地グルメなど味わう余裕がありませんでした。長時間歩いていると、胃が食べ物を受け付けないのです。
でも、体力が付いたのか、今では静岡のグルメも満喫しようという余裕が出てきました。
この時、自分は本格的に旅を楽しみ始めていました。
少しずつだけど、確実に遠く遠くへと向かっているこの感覚。そして、どんどん知らない景色を訪れていく、この旅情感。
「自分は旅をしているんだ!」
思わず両手を広げて叫びたくなるような、そんなハイ状態になることが何度もありました。
そんな中、わたしは大きなハプニングに見舞われたのです。
それは東名高速沿いの道を歩いていた時のこと。
道にはたくさんゴミが捨てられており、その中に鉄の輪っかがありました。
気づかずに輪っかのはしっこを踏むと、輪っかがピーンと起き上がり、わたしの足を引っかけました。
どんなにもがいても、輪っかは動きません。なぜならもう片方の足が、輪っかを踏んづけているからです。
わたしはジタバタともがきながら転倒。両手両足を、思い切り地面に打ち付けました。
あまりの痛さに、しばらく動けないほど悶絶。大人になって転ぶと、子供の頃の何倍も痛い気がする……
両手両足を擦りむいてしまい、特に右足の出血がひどい状態。タオルを巻いても血が滲んで、ちょっと心配になりました。
この時、神奈川で疲れて歩けなくなった時と同じように、「やり場のない怒り」に見舞われました。
こんな場所にゴミを捨てたのは誰だ、どうして徒歩旅で足をケガしなきゃいけないんだ。
どうして気分の良い時に限ってケガをするんだ、傷の手当をしたいのに、どうしてコンビニも、水場もないんだ?
怒りは収まらなかったけれど、結局「どんなに怒っても歩くしかない」という結論に落ち着き、旅を続けました。
歩くたびに傷口が痛むのに耐えながら、なんとか清水に到着。
その日は特に夕陽がキレイで、怪我してへこんでいる自分をなぐさめてくれました。
ホテルに着くと、お風呂に入った。
傷口がしみないよう、両手をバンザイして、両ヒザを立てた状態で湯船に入ろうとしたが、それは至難の技だった。
9日目・清水~静岡駅 (11km)
朝から3時間ほど歩いて、正午ごろ、目的地の静岡駅に到着。
キリも良いし、負傷した足が痛いし、とっくに帰りたい気分。
でも「もう一駅だけ頑張ろう」と気持ちを奮わせて「安倍川駅」まで歩くと、東京に帰りました。
転んだヒザの痛みは一ヶ月も続きました。
今回の旅路(64.6km)
https://goo.gl/maps/hiJykV4nDX42
全体の旅路(173km)
https://goo.gl/maps/ULFnSpBqFpC2
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