2017年 6月・新しい旅に出る
2016年の5月、自分は日本橋~京都までを歩く旅を終えた。
一年かけた旅が終わってしまい、2ヶ月ほど燃え尽きていたが、ふたたび旅に出るエネルギーが湧いてきた。
また新しい旅に出よう。あの、少しずつ目的に向かう感覚。
何時間も歩いている内に、気分がハイになっていく感覚。
知らない町を歩いている時のワクワクする感覚を、また味わいに行こう。
旧中山道を歩くことに
次の旅の候補に上がったのは旧中山道。
https://ssl.gpscycling.net/tokaido/nakasendo.html
東京・埼玉・長野・岐阜・滋賀を経由して、京都へと行く道だ。
「また京都行ってどうするの?」と思ったけど、
長野を歩いてみたかったし、中山道は峠道が多くて、山の景色が楽しめそうなのが良かった。
そして6月の3連休、また新しい旅に出かけた。
1日目 日本橋~さいたま市(33km)
日本橋を出発。
湯島・本郷・巣鴨・板橋と、自分の住んでいる町を歩いた。
見慣れた町を2時間ぐらい歩くのは、ちょっとじれったかった。
その日はちょっと風邪を引いていて「このまま行っても大丈夫かな」と不安だった。
家の近くを通りかかった時など、そのまま帰宅してしまおうかと思ったほどだ。
覚悟が決まるのか、地元から遠く離れるに連れて、どんどん体調が良くなっていった。
板橋を越えると埼玉県へ突入。蕨・浦和・大宮・さいたま市を歩いた。
夜。「おふろcafe utatane」という温泉施設へ。
ハンモックがあったり、広大なくつろぎスペースがあったり、まるでカフェのようなお店だった。
早朝までやっているため、今日はここを宿代わりにする予定だった。
別にホテルを取っても良かったのだが「温浴施設で宿泊する」という
貧乏旅を、1回体験してみたかったのだ。
お風呂に入ると旅の疲れを癒やした。
体の芯まで染み付いた、ずっしりした疲労感までは取れないが、それでも気持ち良かった。
ロフトのマットに寝転がると、ブランケットにくるまって目を閉じた。
ただの休憩スペースで夜明かししていると思うと、緊張するような、ワクワクする気持ちになった。
ただしちっとも眠れなかった。
周りが気になって落ち着かないし、ロフトの下はカフェスペースで、常に誰かの話し声が聞こえる。
午後11時に床について、眠りについたのは午前2時。
貧乏旅は貧乏旅なりに、辛いものがあるんだな……
漫画喫茶や温浴施設を宿代わりにできるのは、若い内にしかできないことなのかも。
ちなみに一夜明かすのにかかった料金は、
「入館料+深夜料金」で2,000円。安い!
店舗情報
営業時間:10:00~翌朝9:00
住 所:埼玉県さいたま市 北区大成町4−179−3
アクセス:日本橋から徒歩8時間
2日目・さいたま市~熊谷市(30km)
スマホのアラームで目を覚ました。
ここはどこだろう。ああそうか、自分はロフトで夜明かししたのだ。
まずは朝風呂に入る。お風呂に設置されたテレビでは台風速報がやっていた。
台風は九州に上陸して大暴れ中。このまま関東に向かっているという。
今日は台風に追いつかれる前に次のホテルへ避難するという、結構ギリギリの行程だった。
おふろcafe utataneを出発。
台風が近づいているため、一日大雨。
顔に雨粒が降り掛かってきて、うっとうしい。足元は靴下の中までびしょびしょ。
防寒具が雨を吸ってずっしり重く、いつもより歩くのが辛かった。
夕方。
十分気をつけていたつもりが、音楽プレイヤーとスマホが、濡れて壊れてしまった。
こういう時、心がざわざわする。
「また旅なんかに出て、何になるんだ?」
「わざわざ台風が近づく中を歩いて、バカみたい」
旅を止めたくなる気持ちが、どんどん強くなる。
でも、自分の中に一つだけ確かなことがあったので、我慢して歩いた。
夜、ホテルに到着。
ホテルの看板が見えた時、いつもの何倍も嬉しかった。
お風呂に入った後、音楽プレイヤーにヤケクソでドライヤーを当てたら、なんと復活した。
スマホも(東京に帰った後、修理屋に14,800円払ったら)復旧した。
3日目 熊谷~籠原駅 (7km)
カーテンを開けると、そこには真っ青な空が広がっていた。
そう。台風一過があるので、3日目は絶対に晴れるのだ。
熊谷市はとてものどかな町。
こんな町で夏休みを過ごせたらとても素敵だろうな。
田園景色が懐かしくて、道路を外れて寄り道した。
初日は温泉のロフトで夜明かしし、2日目は雨の中を歩き続けたせいか、体力は限界だった。
全身が錆びたように動かなくて、7km時点の「籠原駅」で旅を終えることにした。
まだまだ関東圏なので、遠くまで来たという実感はない。
次の旅では群馬に入り、「碓氷峠」と呼ばれる峠を越えて、長野県・軽井沢に上陸する予定。
歩いて軽井沢に行けるなんて、なんだかワクワクする。
二度目の旅に出て思ったこと
やっぱり徒歩旅は飽きない。
長時間歩いているとどんどん気分が高揚して、「自分は生きているんだ!」
という気持ちで胸がいっぱいになる。小さな悩みとか簡単に吹き飛んでしまう。
また、ゆっくりだけど確実に目的地に近づいていくという感覚も楽しい。
なんだかんだ言って、自分は歩くことが一番好きなのだと実感する。
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