霧の摩周湖を見に行く
目が覚めた時、全身がずっしりした疲労感に包まれていました。
頭も体も鉛のように重くて、布団から出るのもやっとの状態です。
昨日、3時間かけて川下りをした後で3時間も自転車で走り回ったら、誰だって疲れるかも。
ホテルをチェックアウトすると、摩周駅前のバス停へ。
この時、摩周駅のそばには足湯があることを知りました。
摩周湖行きのバスに乗り、摩周湖第一展望台へ。乗客は自分と、カメラを首から下げ、三脚を持った天然パーマの男性の2人だけ。
30分ほどして、摩周湖第一展望台に到着しました。
湖は見事なまでに霧で覆われていて、なにも見えません。
仕方がないか。「霧の摩周湖」って呼ばれているぐらいだし、「晴れた摩周湖を見ると婚期が遅れる」
という、なぐさめ半分の言葉もあるぐらいだし。
休憩所に入ると「摩周プリン」というものを食べました。これは「牛のおっぱいミルク」という、
ちょっといやらしい名前の特産品を使ったプリン。口当たりのやわらかい、上品な味でした。
午前11時26分。バスに乗って摩周駅まで戻ります。バスが発車する前、運転手さんが
「霧で摩周湖が見れなかったので」と言って、晴れた日の摩周湖の写真を何枚かくれました。
帰りのバスにも、天然パーマの男性が。
摩周駅に戻ると、1時間後に到着する電車を待ちます。
北海道に来てから、電車を1時間待つことを何とも思っていないことに気づきました。
不思議だな、東京だったら5分の電車を待つのもだるいのに。
川湯温泉へ
電車に乗り、二駅先の川湯温泉駅で降車。
駅を出ると、すぐ近くに硫黄山という大きな火山が見え、もうもうと煙を吐き出していました。
駅から川湯温泉行きのバスに乗車。
摩周湖の時もそうだったけど、川湯温泉駅からバスに乗って川湯温泉に行くなんて、なんだかナンセンスな気分。
バスは10分ほどで川湯温泉に到着。おみやげ屋や、木彫の彫刻品を扱った店が並ぶ、いかにもな温泉街でした。
辺りからは硫黄の匂いが立ち込めてきます。まだ6月だからか、町は静かでした。
バス停の近くには桟橋がかかっており、その下を川が流れていました。
川から湯気が出ているので不思議に思うと、なんとそれは源泉。
エメラルドグリーンの源泉と、白い湯の花のコントラストが、キレイな光景でした。
ここも屈斜路湖の砂湯と同じく、地面を掘ると温泉が出るそうな。
源泉にさわってみると、火傷しそうなほど熱い! うっかり落ちたら大惨事です。
やたらと安全にうるさい日本で、今もこういう場所があるのは意外でした。
小さな洋食屋に入ると、カツスパゲティを注文。デミグラスソースが美味でした。
ホテルにチェックインすると、宿泊者サービスということで、箱の中からカプセルを1つ取ることに。
カプセルの中には見たこともないキャラクターのストラップと、1枚の紙切れが入っていた。
紙には「D」と書かれていた。
「こちら、D賞ですね」
そう言って、フロントの女性はD賞の商品を見せてくれた。そこには女性向けのバッグや、
安っぽいスニーカーなどがあった。「荷物がいっぱいなので」と言って、辞退しました。
案内された部屋は広い和室。布団を敷くと、昼間から寝ました。
ここで昨日の疲れをちゃんと取っておかないと、たまった疲労が後で爆発する気がしたのです。
夜。ドアをノックする音で起床。あわてて対応したけど、それは仲居さんが夕食の差し入れに、
隣の部屋のドアをノックした音でした。
幽霊ホテルを見かける
午後7時。いつまでもダラダラと寝ていたけど、いい加減に布団から出ると、晩ご飯を食べにホテルを出ます。
暗い、ひっそりした通りを歩いていると、あるホテルの前を通りかかりました。
それは4階建てのホテルで、建物はボロボロ。閉鎖されてから長い時間が経っているようです。
客室の窓は締め切られており、電気もついていないため、ホテルには誰もいません。
そんなホテルの1階に、小さなあかりが灯っているのを発見。
気になって駐車場を通り抜けると、ガラス戸に顔をつけて中を覗いてみました。
中には卓上ランプの光がともっていて、誰もいないフロントをかすかに照らしていました。
あまりにも暗いので、まるで暗闇の中をランプが浮かんでいるかのようです。
どうして無人のホテルに電気が通っているのだろう? ここは幽霊専用のホテルか?
そんなことを考えているうちに、急に寒気がしたので、逃げるようにしてその場を立ち去ります。
幽霊ホテルを離れ、近くの「三三五五」という居酒屋に入ると、ラーメンと焼き鳥とウーロン茶を注文。
食事をしている間、テレビでは、どこかの女優が青山の服屋で買い物をしていました。せっかく北海道に来たのに、テレビは東京ばかり映しているな……。
ホテルに戻ると、大浴場の温泉に入浴して就寝。
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