知床から網走へから
網走原生牧場観光センターで乗馬体験
午前9時半。ホテルをチェックアウトすると、電車に乗って「藻琴駅」という無人駅へ。
駅に着くと送迎の人を待ちました。
駅でしばらく待っていると、ミニカーみたいな車がやって来ます。
中から小西という白髪のおじいさんが登場。この人が牧場体験を開催する
「網走原生牧場観光センター」のオーナーでした。
受付を済ませると、カウボーイハットのような帽子を着用します。
着替えが終わると、馬たちのいる厩舎へ。
わたしは「ドン」という名前の茶色い馬に乗ることになりました。
ドンちゃんのたてがみは黒く、色も手触りも人間の髪の毛にそっくり。
そして、いよいよ馬に乗る瞬間。
ビール箱を踏み台にすると、鐙(あぶみ)に足をかけて、えいやっと一息でドンちゃんにまたがります。
すると視界がぶわっと広がり、草原を一度に見渡せるように。馬の上からって、眺めが広くて気持ちいい!
ツアーは田中くんという大学生が案内してくれることになりました。
彼は埼玉の出身で、農業を学ぶために道内のキャンパスに通っているとのこと。
乗馬は大学の乗馬サークルに入ってから始めたそうです。
全員が馬に乗り終えると乗馬ツアーは出発。
この日は埼玉から車で旅をしているという30代の女性も一緒です。
田中くんの馬が歩きはじめると、ドンちゃんもすたすたと歩き出します。
生き物に乗って移動するのは初めての体験なので、ドンちゃんが歩いただけでも感動ものでした。
ドンちゃんが歩くのに合わせて、体がゆさゆさと大きく揺れます。
「それじゃあ、ちょっと走ってみましょう。走る時は、お腹をトントンと蹴ってください」
ガイドの田中君は馬の腹をトントンと蹴って、馬を走らせました。カウボーイみたいでかっこいい!
自分も真似してみると、ドンちゃんはすごいスピードで走り出します。
その激しさといったら、体が激しく揺さぶられて、鞍から放り出されそうなほどでした。
続いて一行は海へと流れる水路に出ました。
田中くんは水の中に入る前に
「馬は濡れるのを嫌がるので、なだめながら進んでください」と言ったけれど、
ドンちゃんは少しも嫌がることなく、ザブザブと水の中を進んでいきます。
水路を抜け橋の下をくぐると、海に出ました。
オホーツク海は波が荒く、北の大地の厳しさを感じさせます。
3人と3頭は砂浜を散歩。
馬に乗って砂浜を歩くなんておかしな光景だと思ったけれど、不思議と違和感がありません。
むしろ、こんな光景をどこかで見たような気が……。
そうだ。「暴れん坊将軍」のオープニングに、こんなシーンがありました。
一行は藻琴湖という湖を通過。
藻琴湖は人気のない静かな湖でした。
田中くんによるとこの湖には海水が流れ込んでいるので、ホタテや牡蠣がとれたりするとのこと。
雑草が生い茂った道を通るとドンちゃんが道草を食べようとするため、引き止めるのに大変でした。
彼はものすごい力で手綱を引っ張るので、全力を出さないと制御できないのです。
藻琴湖を抜けると道路沿いの道を通行。
この時横断歩道を渡ることになり、馬に乗って信号待ちをすることに。
車がそばを通る時、ドライバー達が自分たちを見るため、少し恥ずかしい気持ちでした。
それにしても不思議な気分でした。
北海道に来てからというもの、カヌーに乗って川の上でコーヒーを飲んだり、自分で温泉を掘ったり、
馬に乗りながら信号を待ったりと、変わった体験ばかりしています。
日本には、自分が思っている以上に面白いことがたくさんあるのだと感じました。
2時間半のツアーを終えて、牧場に戻りました。
乗馬は全身運動のため、素人が2時間半も乗馬するのはなかなか大変なことでした。
小西さんに車で藻琴駅まで送ってもらい、釧路駅に戻ります。
午後5時17分。旭川へと向かう特急オホーツク8号が発車しました。
目的地の旭川までは3時間40分もかかる長旅です。
午後9時、電車は旭川駅に到着。
窓の外に建ち並ぶビル群を見て、久しぶりに都会に戻ってきた気分です。
改札は自動改札機があるだけで、誰もいませんでした。
今まで駅員さんが切符を切る有人改札ばかり通ってきたので、無人の改札を通るのは落ち着かない気分。
近くのラーメン屋で旭川ラーメンを食べました。
北海道のラーメンは、どれも麺のコシが強い気がします。
明日は稚内へ行って、北の果ての宗谷岬へ行く予定。
また3時間半の移動になるけれど、そろそろ残金が心配になってきたため、旅のペースをあげていきます。
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